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【とらふぐアカデミー】第2回講義~ふぐの特徴~

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【とらふぐアカデミー】第2回講義~ふぐの特徴~

 

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【とらふぐアカデミー】第2回講義~ふぐの特徴~

 

 

 前回の講義では「ふぐの歴史」について学びましたね。

まさかあのお方がふぐ食解禁に関わっていたとは…

気になる方は是非第1回講義もチェックしてみてくださいね!

torafuguhakase.hatenablog.jp

 

では早速、第2回講義やっていきましょう!

 とらふぐの成分

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とらふぐといえばやはり避けて通れないのが「毒」の存在でしょう。1gでマウスを1万匹も死亡させることが出来る猛毒「ふぐ毒」テトロドトキシンを有しています。猛毒の代表格である青酸カリの500~1,000倍もの毒性があるんですよ!

 

「ふぐ毒」テトロドトキシンに関しては、たくさんの研究がされ、多くが解明されましたが、まだすべてを解明するに至っていないのが現状です。

 

特効薬もなく、毒を含有する部位を食べた場合は、必ずといっていいほど中毒になります。こういった背景から日本で唯一、取り扱いに免許が必要な特別な魚となりました。

 

フグの有毒部位は種類によって異なるのですが、外見が似かよったふぐも多く、なかには筋肉に毒を持つものもあり、フグの種類鑑別ができなければ大変危険です。

 

有名人で被害にあわれた方もおり、
人間国宝で美食家でも有名だった、歌舞伎役者の坂東三津五郎 (8代目)大相撲力士の沖ツ海福雄等の方々が実際に亡くなっています。


釣ってきたふぐや、もらったふぐを素人判断で調理することは、死亡の危険性もあり非常に危険です。

 

何度も言いますがふぐを食べる際は必ず、免許を持った専門の調理師が処理したものにしましょう。

 

ふぐの毒がいかに危険かは、有毒部位の処理方法を見てもわかります。
ふぐの有毒部位は取り除かれたあと、各都道府県の条例に基づいて専用の容器に入れられ、鍵をかけ厳重に保管されます。

 

その後、専門の業者等により回収・処理されます。かなり厳重に扱っているのが分かったでしょうか?それだけ危険ということですね。

 

ここで豆知識!

実はその恐ろしいテトロドトキシンという毒を日本人が発見し命名していたということは知っていたかな?

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日本最初の薬学博士である田原良純さん(内務省東京衛生試験所所長)が初めてふぐの卵巣からフグ毒を抽出させることに成功し、フグ科の学名「Tetraodontidae」から「テトロド」、「Toxin(毒素)」から「トキシン」を合わせて、「テトロドトキシン」と命名したんです。

 

これはびっくりだね!

 

では強い毒を持つふぐは海では無敵なのか?というとそうではないようです。

 

ふぐは成長とともにテトロドトキシンを体内に蓄積していくため毒性が弱い稚魚のうちは多くの生きものから狙われ食べられることもあるようです。

 

強い毒を持つために他のいきものから捕食されにくいふぐですが、テトロドトキシンに対して高い耐性を持っている、同じ大型種のふぐに食べられてしまうことがあるそうです。敵は近くにいた!ってことです。

 

 ふぐはどうやって膨らんでるの? 

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ふぐは膨らむ際に水や空気を、特殊な「弁」と袋状の「膨張のう」を持った「胃」のなかへ入れ体を膨らませます。


個体によっては、自重の約4倍もの水を吸い込むものも!外敵を威嚇したり自己防衛と関係があるといわれてます。


その姿から英語では、globefish(球状の魚)や、blowfish(息を吹く魚)と呼んでいます。

 

 

なんでも噛み千切る鋭い歯

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ふぐの歯は通常の魚の歯とは異なっており、見分ける上でポイントとなっています。


学名テトラオドンティダエ(Tetraodontidae)はラテン語で、大きな歯が四本ある、という意味があり、板状になっている大きな歯が上下2枚ずつ合計4枚の歯板となっていて、中央部分がクチバシの様に鋭く尖って生えています。

 

ふぐは出荷時や養殖時にたびたびニッパーで歯を切ります(歯切り)ふぐは触れ合うと激しく噛みつく習性があり、生簀内で他のふぐの身やひれに噛みつき傷つけ合ってしまいます。

 

繊細で臆病な性格なんですね。

 

美容には欠かせない!?

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また成分の特徴の一つとして美容業界などでよく聞くコラーゲンがあります。

 

ふぐの皮やくちばしはほとんどがゼラチン質で良質なコラーゲンの塊です。コラーゲンは、私たちの体を構成するタンパク質の3分の1を占めており、体のあらゆるところに存在しています。


肌をキレイにする効果があるといわれ、皮膚の健康を維持する働きがある「ナイアシン」という栄養素も含まれています。


さらに「カルシウム」や「マグネシウム」、「リン」などの丈夫な歯や骨を作る上で欠かせない成分が含まれ、カルシウムの働きをサポートしてくれる「ビタミンD」も豊富に含まれています。

 

ふぐのことわざ

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昔の人から学ぶことは多いですが、ふぐをことわざで残してくれた人たちがいたんです!

 

  • 河豚は食いたし命は惜しし(ふぐはくいたし いのちはおしし)

 

美味しいフグは食べたいが、毒に当たって死ぬのは嫌だという言葉通りの意味の裏に、いい思いはしたいけれど、それに伴うリスクは怖いから簡単には踏み切れず迷っている様子のこと。

 

  • ふぐ食った猫の腰(ふぐくった ねこのこし)

 

ふぐを食べて毒にあたってしまった猫の腰のようにフラフラしている様子をさし、「腰抜け」であることをあらわすことわざ。

 

  • 河豚にもあたれば鯛にもあたる (ふぐにもあたれば たいにもあたる)

 

運が悪い時には何を食べても当たってしまうということ。つまり、いつどこで災いが起こるかわからないということのたとえ。

 

  • 河豚食う馬鹿河豚食わぬ馬鹿(ふぐくうばか ふぐくわぬばか)


毒を持つふぐを食べて命を落とすのは愚かだが、怖がって全く食べずふぐの美味しさを知らないことも愚かだという意味。
フグの美味しさと危険に乱れる人々の心を、皮肉を込めて表現しています。

 

北大路魯山人
ふぐの美味うまさというものは実に断然たるものだ――と、私はいい切る。これを他に比せんとしても、これに優まさる何物をも発見し得ないからだ。とまで言わしめた。

 

芥川賞作家・火野葦平
冬の雪冬の寒さは ふくのためふくあるがため 春菊と橙あれば その味はまた世界一

と語っています。

 

昔からやはり「おいしさ」「毒」がふぐにとってインパクトの強い要素だったのが分かりますね。

 

危険なものほど美味し

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高級食材であるとらふぐに「絶妙なうま味 」を感じるのは、毒があるからという説もあります。

 

しかし、新たな研究で、フグの味を形成している化学物質が特定されました。研究結果は、「ACS’ Journal of Agricultural and Food Chemistry」で発表されています。

 

ユアン・リューと共同研究者たちは、フグの筋肉組織をすりつぶして調理し、フグの抽出液を作りました。抽出液を解析したところ、その中の12の成分を水に溶かした時にフグの味をうまく表せることがわかり、その味には強い旨味やコク味が含まれていました。

 

さらに、事前の研究で分離していた2つの味を持つペプチドを加えることで、一層実物のフグの味に近づけることができたのです。

 

今回の研究でフグが美味しいのは、含まれる成分によるものであり、命を危険に晒すことによる心理的な効果は必要ないことがわかりました。

 

とは言え人は危険なものほど魅力を感じ惹かれてしまうものもしふぐに毒がなかったら今とは違う扱いだったかもしれませんね。

 

 

 

2回目はこれで終了です。最後までお付き合いいただきありがとうございます!

 

次回は「とらふぐの生態」についてやっていくよ!

 

最後まで読んでいただいたみなさんに福が来るよう、最後は博士直伝のこのおまじないで締めたいと思います。

 

福福来来 ふくよこ~い!